お題「男の限界」
自分がまだ子供だった頃の話。
ある日、父親の知り合いが「焼肉居酒屋🏮」をオープン!!という一報が入った。
父親にしては、親戚ほど仲の良かった知り合いのお店という事もあり、当然のごとくお祝いに出かけることとなった。
「一緒に行くやついるか?」と父親が自分と自分の姉の方を見て言った。
姉は友達と遊びたい、との事でキャンセル。
自分と父親の2人で焼肉居酒屋オープン祝いに出向く事となった。
「え?お酒飲むのに車で行くの?」と、思ったが、車の運転が大好きな父親は、お酒の時も車で行くのが当たり前。。。
※昔の時代の話です。。。決して真似しちゃダメですよ 🙁
助手席で熟睡できるほどの時間をかけ、ようやく焼肉居酒屋に到着!!
「遠いとこからよく来たねぇ 🙂 」と知り合いのおじさんが喜んだ。
「今日は車だから、お酒は飲まないよ」と父親が先手を打ったが、そこはめでたい仲良しとの席㊗️
「ちょっとだけなら、、」と父が酒をすすり出した。
お酒の飲めない自分は美味しい焼肉!特に薄切りのステーキにゾッコンで、バクバク食いまくった。
テーブルを囲んだ仲間たちはご機嫌絶好調。ちょっとだけのお酒が案の定、いつもの量に、、、、、、🍶
そのまま、夜中までワイワイ楽しいお酒が続いた。。。。。。
で、やって来るのが帰りの時間。。。。。。
「お酒入っちゃってるんだから、今日は泊まっていきな。朝帰ればいいよ。」と知り合いのおじさんが父親に促すも、「明日は、お客と会わなきゃなんないからねぇ」と丁重にお断りする父親。
いつものごとく、ほろ酔いの父親がハンドルを握りエンジンを温める。
その隣に満腹になった自分が座る。
「このくらいの酒は水と同じだから大丈夫。じゃあ、また来るよ!」と知り合いに父親がお別れの笑顔。
走り出してしばらく、助手席から見える父親の横顔、、、、、瞼がうつろ、、、、
「父さん、大丈夫?😥眠いんじゃない?」
「いや、まだ大丈夫。少しだけ眠いだけだよ」
とはいうものの、家までは2県ほど離れた距離、、、
しかも時間は真夜中の1時過ぎ、、、
父親の横顔の顔つきに力が徐々になくなり、あくびの回数が増える、、、、、
「ちょっと車止めて寝ようかな、、」と、いつもと違う弱音を父親が吐き始める、、、
しかし車を止めようとしない。
焼肉居酒屋からはもうかなりの距離を走ったが、家まではまだまだの距離、、、、
突然、車がバイパスから横道にそれ始めた。
どうやら父親は宿を探し始めてる様だ。
さすがの父も限界か、、、、、
でも、自分もそれを望んだ。
けれど、こんな場所、こんな時間にまともな宿は見当たらない。
父親の限界が近づいてるのが分かる、、、
車中泊という手もあったが、昼間は大事なお客と会う予定の父。
風呂には入りたいようだ、、、、、
で、車がやっと見つけた宿の駐車場に車を止めた。
そこはなんと、ラブホ!!!
「ここしかやってねぇ」と力のない父親が車を降りる。
ただ、自分的にも子供ながら、これ以外の選択肢はないと感じている。
父親と息子、プライドを捨て、ラブホの窓口にSOSを発信する。
事情を話し、状況を納得してくれた窓口のおばさんが許可をくれた。
生まれてはじめてのラブホ、、、、、
四方ガラス張りのお風呂の中で、シャワーを浴びる父親の背中を見た後、仕方なく爆睡しました。
悲しいかなぁ、悲しいかなぁ、、、
朝目覚めた時にはピンク色の天井がモンヤリと目に飛び込んで来た。
ん〜、これは一生ものの悲しい思い出になると、子供ながらにその時点で確信したのであった、、、、、
計画は余裕をもって 😥